吾妻ひでおの逃亡日記

逃亡日記吾妻ひでおの新刊「逃亡日記」を読む。
「失踪日記」で日本漫画家協会賞,文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞,手塚治虫文化賞マンガ大賞を総ナメした著者が,あらためてその生い立ちから漫画家修業を経て,失踪,復活に至る波乱の半生を語ったもの。
といっても堅苦しいものではなく,吾妻氏の前口上によると「別冊漫画ゴラクに連載してたインタビューコラムに語り下ろし書き下ろし漫画 おまけをつけ 私の生い立ち 漫画家になるまで他むにゃむにゃなことを適当にまとめたものです・・・てかこれ「失踪日記」の便乗本じゃないのっ!」
失踪の地を再び訪ねる口絵,公務員のお父さんがなぜか4回結婚しており,まだ会ったことがない兄弟がいるらしいといったエピソード,若い頃の石ノ森先生や手塚先生への思い,奥さんお嬢さんへのアンケート,年表など取り混ぜながら,漫画家の裏話的に面白く書かれているものの,やはり鬱でアル中の吾妻先生には得体の知れないところがあるとの感を強くもつ。これは一つの男のあこがれかもしれぬ。