スタンダール「赤と黒」新訳をめぐって

光文社古典新訳文庫から昨年刊行された,スタンダール「赤と黒」新訳が,いろいろ話題となっていますね。
訳者の野崎 歓氏に対して,下川 茂氏が「前代未聞の欠陥翻訳で,日本におけるスタンダール受容史・研究史に載せることも憚られる駄本」,「訳し忘れ,改行の無視,原文にない改行,簡単な名詞の誤りといった,不注意による単純なミスから,単語・成句の意味の誤解,時制の理解不足によるものまで誤訳の種類も多種多様であり,まるで誤訳博覧会」と批判しているもの。
今年3月15日に第3刷が発行された際に19箇所が訂正されたことについても,改版ではなく初版第3刷としたことを隠蔽だと非難するなど,下川氏はなかなか意気盛んですが、光文社側は,「読者からの反応は好意的で,読みやすく瑞々しい新訳でスタンダールの魅力がわかったという喜びの声だけが届いている。編集部としては些末な誤訳論争に与する気はまったくなく,異論があるならご自分で新訳をなさったらいかがか」とコメント。
まあ,一般読者にとっては,翻訳ならぬ翻案でも面白いものは面白いわけで,いっそのこと新刊「まんがで読破 赤と黒」(イースト・プレス文庫)でも読みましょうか。

コメント

  1. 『赤と黒』スタンダール

    最近、光文社古典新訳文庫で『赤と黒』に誤訳が多いとか ニュースになりましたが。私は他社のハードカバーで読んだので この書評は大丈夫です…たぶんw 赤と黒…

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