岩波文庫の坂口安吾

桜の森の満開の下・白痴 他十二篇 (岩波文庫)朝に強くて夜に弱い私は、いつも早朝出勤なのですが、今朝は特に早く家を出たのに、肝心な電車が事故で遅れて….。年末になるといろいろバタバタして落ち着きませんね。
岩波文庫の坂口安吾「桜の森の満開の下・白痴 他12篇」を読む。9月刊「堕落論」、11月「風と光と二十の私と・いずこへ 他16編」と、岩波文庫では安吾作品が3ヶ月続けて刊行された。
それぞれの作品は、高校生の頃から、すでに他の文庫で読んできたものが多い。今回、まとめて読み返してみると、安吾の作品に抱いていたリアルな「エロさ」というイメージが全く無いことに驚いた。というより、そういうイメージを持ち続けていた自分に吃驚した。
作品が書かれた戦後すぐに比べて、現在は戦争自体が非現実的なものとなっているが、それにしてもこれらの作品からは、ネオンキラキラの風俗街にぽつんと残されている遊郭時代からの見世のような希薄な現実感、はかなさが感じられる。格好いい無頼漢じゃなかった安吾。でもそこがよかった。