1998年10月

10月31日 もう11月になるというのに,この暖かさはなに?(今日は26度になるらしい) いよいよ,日本もハワイ並に常夏化になるのかしら。 そんな温暖化の影響ではないだろうけど,最近は第2次ウクレレブーム?とかで,この夏に出た「ウクレレパラダイス」(POPEYE別冊)も,なかなかの売れ行きだったそう…

続きを読む

蔵書印と書き込み

最近は,いちいち購入した本に蔵書印を押したり,識語を書き込むという人は少ないと思いますが,古書店で古い文庫本を探していると,蔵書印が押されていたり,書き込みのある本によく出会います。いまは本があふれかえってしまったためか,一冊一冊の文庫本を自分の精神的な財産,糧として愛着を感じ,蔵書印を押したり,感…

続きを読む

単行本はどこに?

書店で,ある作家の小説やエッセイを探すときに,あなたはまず単行本の書棚へ行きますか,それとも文庫本の書棚へ行きますか? 私の場合,明らかに出たばかりの新刊書とわかる場合を除いて,文庫本の方へ行きます。最近のように,単行本から文庫化される時期が早くなると,単行本をレジへ持っていく途中で,念のため……

続きを読む

1998年9月

9月29~30日 出張中。出張先の××大学には立派な図書館はありましたが,周辺に書店が全然なかった。学校周辺の書店密度(とくに古書店密度)は,個人的にその大学を評価する上での重要な指標だと思っていますので,今回はハズレ….といったところ。 9月26~28日 細井和喜蔵が28歳の若さで著した「女工…

続きを読む

尾崎一雄「暢気眼鏡・虫のいろいろ」

“ユーモア”とは,品のよい滑稽・上品な冗談ということらしいですが,あまり耳にしなくなりましたね。尾崎一雄は,昭和期の代表的なユーモア作家,と評価されていますが,その短編(岩波文庫の新刊「暢気眼鏡」)を読むと,暢気な若い妻や貧乏ネタが,昔流行した漫才を久しぶりにテレビで見たようで,若い人には,面白さが…

続きを読む

電脳お稽古日記(公募ガイド誌)で紹介されました

公募ガイド10月号「電脳お稽古日記」で,高木芙羽さんに本ページを紹介していただきました。感謝。こんな感じ….  ところで「買った本は読まないので、読んだ本だけ買おう」という平野さんの姿勢とは逆に、世のなかには、読んでも読まなくも本は手元に置きたいという方も当然いるわけで、そういった情熱に支えられ…

続きを読む

「文庫本雑学ノート」を読む

「文庫本 雑学ノート」(ダイヤモンド社,1998年9月刊)は,久々に出た文庫本マニアのための蘊蓄本。著者岡崎武志氏は,先に出た「文庫本大全」の編者をつとめたほか,週刊誌の読書コラムを担当するフリーライター。自ら文庫王と名乗るマニアックな人だ。 本書は文庫本の歴史に簡単に触れた上で,文庫化されていな…

続きを読む

1998年8月

8月25~31日 30日夜,中華航空の遅れにより,東海道線の終電に滑り込みセーフで帰ってきました。台北は連日35度の暑さでしたが,美味しい食事には満足満腹しました。もっとも子供は,どこへ行こうが変わりなく,奇声を上げ,走り回り,ほかの子供のおもちゃを奪い,故宮博物館より台北SOGOデパートの子供広場…

続きを読む

1998年7月

7月31日 きょうで7月も終わりなのに,まだ梅雨があけたあけないとグズグズ。電車も大雨で止まってグッタリ。どうもノリの悪い月末です。でも,電車の中で中学生の男の子が,なにやら一所懸命読んでいるので失礼して覗くと,椎名誠の「オババ」でありました。う~ん,まともな中学生もいるんだ,安心安心。 7月30日…

続きを読む

澤木四方吉「美術の都」

大正初期にフランスやイタリアの美術探訪の旅に出た澤木四方吉の日記や書簡を集めた紀行文集.で,イタリアの観光美術案内としても役立つ本です。(これを簡略化した昭和版が松永伍一「私のフィレンツェ」ですな) 『芸術創造力や文化にとって王者と貴族の存在がなければならず,民衆的傾向はこれを弱めるものである。フラ…

続きを読む

1998年6月

6月30日 7月7日に岩波文庫の一括重版があります。今回は比較的最近の書目ばかりで,めぼしいものがないのは残念ですが,メリメの「怪奇小説選」,サンドの「フランス田園伝説集」など楽しい読み物が多いので,緑陰読書には結構かと思います。 6月29日 書店で「’98角川文庫の名作150」の小冊子を貰いました…

続きを読む

発売禁止ならびに削除処分となった岩波文庫一覧

戦前に刊行された岩波文庫の中で,当局により発売禁止,または削除等の処分を受けた書目一覧 「資本論」は岩波が自主的に絶版としたため,ここには無い。 著者書目処分年処分内容 アルツイバーシェフサーニン 上下昭和4年発売禁止 ジイドソヴェト旅行記昭和12年一部削除 田山花袋蒲団・一兵卒昭和13年一部削除 …

続きを読む

BOOK SITE OF THE WEEKで紹介されました

日経BP社とNTTが共同運営している総合企業情報サイト「ComTrack」の書籍情報サイト「ComTrackBOOKS」がオープンし,その中のお薦めの書籍関連サイトを紹介する「BOOK SITE OF THE WEEK」というコーナーの第1回目で「文庫本大好き」が紹介されました。

続きを読む

文庫本の定義

ある本を「文庫本」と呼ぶとき,それは内容を示す場合と,判型を示す場合の2通りがある。 わざわざ内容というのは,流行作品の大量販売を目的とした米国のペーパーバックスと異なり,我が国の文庫本が古典的作品の廉価版という特殊な事情から発生したためで,文庫本は単なる安物ではなく,”優れた作品”をいつでも手に入…

続きを読む

1998年5月

5月30~31日 久しぶりによい天気でしたが,家のそばから離れられず,図書館に行ったのが唯一,本との接点でした。私の住んでいる市には4つの図書館・分館があって,それぞれまずまずの蔵書を持っています。理論的には^^;;夫婦二人分のカードを使って40冊までいっぺんに借りられる計算ですが,実際は数冊の本で…

続きを読む

ヘンリー・ジェイムズ「アスパンの恋文」

ヘンリー・ジェイムズとヘンリー・ミラーは別段関係ないのだが,なんとなく似たもの同士と思ってしまうのはジェイムズに「デイジー・ミラー」という小説があるせいかもしれない。 それはともかく,200編に及ぶというジェイムズの作品の中で,「デイジー・ミラー」と「ねじの回転」,「ある婦人の肖像」程度しかわが国で…

続きを読む

永井荷風の墨東綺譚

物語-取材のために訪れた向島は玉の井の私娼窟で小説家大江匡はお雪という女に出会い,やがて足繁く通うようになる。物語はこうして墨東陋巷を舞台につゆ明けから秋の彼岸までの季節の移り変りとともに美しくも,哀しく展開してゆく。昭和12年,荷風58歳の作。木村荘八の挿絵が興趣をそえる。 永井荷風,本名壮吉。別…

続きを読む