岩波書店は,1913年(大正2年),岩波茂雄によって創業された。この岩波文庫の生みの親,岩波茂雄のプロフィールと岩波書店の歩みをまとめてみた。 岩波茂雄は1881年(明治14年),長野県諏訪郡中州村の農家に生まれた。早くに父を亡くした茂雄は,98年,東京遊学の念に燃えて,杉浦重剛日本中学校校長に手紙…
続きを読む岩波書店の著者検印
(1998/5/2) 本の奥付に押された著者検印。著者や書店が,”この本の中身は保証しますよ!”といった感じで,本好きにとっては好ましいものだったのですが,最近めったに見かけなくなりました。 そもそもこの検印とは,著者が発行部数を確認するために押す印のことで,ふつうは奥付に,版権所有の文字とともに…
続きを読む1998年4月
4月30日 アスキー西社長の退陣は,やはり意外なことなのでしょうか? 毎週読んでいた週刊アスキーのデジタル日記にも景気の良い話はなかったように思うけれど。どちらにしてもアスキーやハドソンはマイコン学生にとって親しみのある名前だったのですから,残念なこと。CSKは大企業かもしれませんが,一般人にとって…
続きを読む岩波文庫の書店カバー
文庫本を買ったときに,書店でかけてくれるカバーには,いろいろユニークなものがあり,これを書皮と称してコレクションしている人もいます(書皮友好協会)。 凝ったデザインや,有名人の手になるものなど,数多あるカバーの中に,実は岩波文庫・新書専用のカバーもあります。といっても,岩波文庫・新書だけサイズが違う…
続きを読む岩波文庫の小冊子
岩波書店では,ときどき岩波文庫を読むためのガイドとなるような小冊子を作っています。体裁は岩波文庫と同じで非売品。書店でご自由にお取り下さい,というもので,編集部が独自に作ったお薦め文庫リスト(とくに青少年向きが多い)であったり,著名人が私の好きな文庫を紹介したりするものです。(写真は現在店頭で配ら…
続きを読む岩波文庫の特装本
岩波文庫の特装本としては,大きい活字の「ワイド版岩波文庫」が出ているが,これはB6判の市販品。それ以外にも特殊な特装本が数種出ていたことがわかっている。 まず,訳者自家用版。本文は通常の文庫本と同じで,本の大きさが天地左右とも文庫本より5mm程度大きい。未断裁で,表紙に模様はなく,白い紙装。通常の奥…
続きを読む岩波文庫の装幀
岩波文庫の装幀….といわれて,茶色の地に唐草模様のあの表紙を思い浮かべる人は,残念ながら,かなり古いタイプの読書人になってしまいました。 岩波が薄いパラフィン紙から今のビニール引きのカバーに変えて,すでに10年以上が経過したので,かつて書店の文庫棚が茶色一色だった頃を,知らない人もいることでしょ…
続きを読むはじめに….岩波文庫について
(写真)創刊前日の東京朝日新聞掲載広告 岩波文庫は1927年(昭和2年)7月10日に岩波書 …
続きを読むフレア文庫
中学生たちにもう一度,本を読む喜びを知ってほしいー。子供の読書離れが言われる中で,東京の小出版社「フレア」が埋もれた内外の少年少女文学名作の文庫化を始めた。昨年12月に川端康成の作品など4点を出版,9月には第二弾としてロシアの作品など2点を刊行する。 「最近の中学生は,いじめとか,孤独とか,厳しい…
続きを読む岩波文庫の整理番号
岩波文庫の分類・整理のためにつけられた番号として,よく知られているのは著者別番号と,創刊当 …
続きを読む岩波文庫の赤帯を読む
門谷建蔵著「岩波文庫の赤帯を読む」は,とてもユニークな本だ。著者自身「赤帯限定読書マラソンのような」というように,岩波文庫の「赤帯」(外国文学)を900冊ほど読み,各々に短いコメントを付けたもの。 普通の書評本と違い,購入書店や価格の記録(多くは一般の古本屋で購入)を詳しく記す一方,コメントの方はか…
続きを読む岩波文庫の黄帯と緑帯を読む
「岩波文庫の赤帯を読む」に続いて,同じ著者(門谷建蔵)による「黄帯と緑帯を読む」が出た。 今回は,日本文学を中心に,前書で漏れた赤帯も少し拾いながら,類書をまとめつつ,コメントしているのだが,各々の作品の解説ばかりでなく,作家別・年代別に岩波文庫への収録点数をしらべ,各作家の岩波文庫への貢献度をラン…
続きを読む角川文庫
1949年(昭和24年)5月創刊。もっとも最初はB6判という「リーダース・ダイジェスト」と同じヘンな判型で,これをやめて現在のA6の文庫判型で刊行しはじめたのは1950年5月から。 創業者の角川源義は元中学校教諭で,柳田國男,折口信夫の薫陶を受けた国文学者兼俳人。そういう人の出した文庫だから,初…
続きを読む1998年3月
3月31日 「図書」掲載の千野栄一氏”人はどうやって蔵書を整理するか”によると,かの作家カレル・チャペックは,きちんと整理された書斎をもっていて,「私には物を探すという贅沢な時間はない」と言ったとか。贅沢と縁がないことでは自信がある私も,本だけではなく,整理されていないパソコン内のファイルやブックマ…
続きを読む徳間文庫
徳間文庫の創刊は1980年10月。それでも既刊は1600点を越えたし、柿妹シリーズの「アニメージュ文庫」「パステルシリーズ」を加えるともうかなりの蓄積量である。それもそのはず、総点数でなく毎月の生産点数では20点に近く、量産では上位五指に入る大手なのだ。徳間書店といぅ名前ではそれはど知られていなくて…
続きを読む岩波文庫1997年の販売成績
「図書」4月号によると,昨年(1997年)の岩波文庫売り上げ好調書目は次の通りでした。相変わらず日本思想がよく売れていて,とくに話題書が無かった赤帯(外国文学)はランク入りしませんでした。 ●1997年岩波文庫売り上げベストテン 1武士道 2代表的日本人 3君たちはどう生きるか 4忘れられた日本人 …
続きを読む春陽文庫
春陽文庫の歴史は古い。もとは春陽堂文庫といい,創刊はなんと1931(昭和6)年。現存する文庫では新潮・岩波に次ぐ三番日の老舗なのである。最初は文芸路線だったが,戦後の1950(昭和25)年に春陽文庫と改称,戦前に同じ春陽堂から出ていた日本小説文庫の流れを引き継いで,時代小説中心の大衆文芸路線に方向転…
続きを読むちくま文庫
文庫は出版社の事業計画の中で,どのように立案され創刊されるのであろうか。「ちくま文庫」(筑摩書房)は1985年12月4日「新しい教養の復権」をスローガンに念願の創刊を果たした。 文庫創刊の企画段階から現在まで,中心となって活動してきた副編集部長の柏原成光さんに,これまでの道のりを聞いてみた。 創刊時…
続きを読む創元推理文庫
1950年代の半ば,東京創元社が海外の推理小説に手を染めようとした時,積極的に賛成してその路線を押し進めたのは,当時編集顧問だった小林秀雄であるという。世界推理小説全集,現代推理小説全集,世界大ロマン全集,クライム・クラブ,エラリー・クイーン作品集,ディクスン・カー作品集などを刊行した後,1959年…
続きを読む新潮文庫
新潮文庫は,一番歴史の古い文庫である。最初の刊行は1914年(大正3年)9月。これを含めて現在までに4度出されており,1914年版は四六半裁(だいたいB7ぐらいで現在の文庫よりも小さめ;裁は代字),1928年版は新四六判(現在の文庫より縦長),1933年版は菊判半裁(現在の文庫より少し大きめ),1…
続きを読む